使い込んだ鑿(のみ)を・・・

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古民家大改修中のこの現場では大工さんそれぞれが使い込んだ鑿(のみ)
を用い作業を進めています。
こんなにも(のみ)を多用している現場はこの時代 珍しくなりました。
叩き上げの大工さん達が作業しているのを見るのは嬉しいものです。


休憩時、短くなった(のみ)を研いでいるところを興味深く覗き込み
大工道具のことなどを話し合っていました。

この(のみ)は10年ぐらい使っているが、こういう現場がもっとあれば
もっと早く短くなっているよ・・・と言ってました。
刃が短くなれば柄を長くしないと使い勝手が良くありません。
この(のみ)は大工さん自ら古い鉋(カンナ)の台を加工して
柄を付け替えたのだそうです。

そんなこんなの話をした後、職人さん達と昼飯を食べていましたら
その大工さんが「これやるよ!」ってピカピカに研いだ(のみ)を
目の前に差し出したのです。
「ええっ! もらえないよ!」そう言う私に
「良いんだよ他にもあるから・・・」

板の上にテッシュを置いて、そこにピカピカに研いだ刃先を
すーっと這わせたら、なんとカミソリで切ったと同じ切れ味!
更に腕の上を這わせたら産毛が綺麗に剃られていきました。
驚く私に「小僧の時にはこれぐらい研がないと許してもらえなかった」
と言ってました。

昨年、大工道具をわかってくれる人に持っていて欲しい・・・と
杉坂の家を造り続けてくれている腕のいい大工さんに長い(突きのみ)を
頂いたことがありました。
その大工さんに(のみ)を見せたら鞘を作ってくれるといいます。
出来た鞘はヒノキの香りがする手の込んだものでした。
ありがたいことです!


頂いた大工さんに鞘に収めた(のみ)を見せたら鞘の方が立派だな!と
嬉しそうに言ってました。
腕のいい職人さんは本当に道具を大事にしますね!
これで私の宝物は手斧・突きのみ・使い込んだ(のみ)と増えていきました。

工事の進捗状況はというと今月末には外回りを固めるとこまでいきます。
部屋の空間がわかるようになってきました。

三枝

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