煤竹を洗う

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寒中お見舞い申し上げます。

この寒さの中、いかがお過ごしでしょうか。
古民家大改修工事の進捗状況はというと土間入口に下屋が付き
雰囲気が出てきました。断熱材の施工も終わったので暖かく
感じます。



正月明けから室内の造作が始まりましたので、茅葺き屋根を
解体した時に出た大量の煤竹を洗浄することにしました。
一階6畳の天井と二階の寝室の天井、それに階段の手摺子と
トイレの腰壁、その他諸々のところに使用します。
その数なんと240本!
それでも解体時に出た本数の半分にも満たない数なのです。

囲炉裏の煙で燻されて真っ黒になった煤をどうやったら
風合いを無くさずに洗浄できるか!
藁でこするといいと書いてありましたが時間がかかりますし、
3本も磨けばギブアップ状態。
なにせ240本やらねばなりません。



検索しましたらクレンザーと金タワシを使って洗浄している
記述と写真がありましたが、私は粉石鹸と食器洗い用スポンジ
の裏を使うことにしました。
粉石鹸を泡立てゴシゴシと汚れを落としていくと赤茶けた色
(煤竹色)と縄が巻かれていて煙があたらなかった飴色の煤竹の
美しい模様が現れます!
この飴色のところを「星」というのだそうです。

煤竹の先端から2mの細い部分は寝室の天井の古材と古材の間に
敷きつめます。この部分は棟に近く煤が一番付着する場所です。
細くて真っ黒でそのうえ窪みもあり、ゴシゴシとこすってやっと
煤が落ちます。

外径が40mm前後の煤竹が多く、
中には外径が110mmで長さが4m以上の大物も数本あり、
水で洗い流し立てかけると、歴史と自然が作り出した絶妙な色
と紋様の美しさに暫し見とれてしまいました。
現在、本煤竹は手に入り難い貴重な材料となっています。
残りの本煤竹を処分してしまうにはあまりにも惜しいので
只今行き先を考慮中です。

ゴム手袋をはめ、数日かけてひたすらひたすらゴシゴシと
煤を洗い落とし倉庫に立て掛けた本数は215本 !!

洗っている時に何故か頭に浮かんだのが川端康成の「古都」
北山杉の丸太を冷たい川の水と滝つぼの砂を使い、
素手で磨いているシーンでありました。

三枝

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