東京大空襲・罹災の痕跡!

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東京大空襲・罹災の痕跡!

大使公邸屋根葺き替え工事。
築89年になる建物です。
足場を架けるだけで2週間かかりました。

6月14日、ここ10年で最も遅く梅雨入りしたという関東地方。
梅雨に入っても雨の日が少なく、天然スレート葺き屋根の解体と修復作業は、思いの外はかどっています。

建物はRC造りですが、屋根は木造トラス構造。
登り梁には松、その他の構造材は杉が多く使われています。
照明に照らされ、見応えのある構造美の屋根裏を歩くのは、ワクワクします。
匝瑳市の古民家の時と同じ気分です。

屋根裏から調査したところ、腐食している木部は9箇所。
全て雨漏りによるものと判明!
トラス構造にも補修が必要な箇所が見つかりました。

いざ工事が始まり天然スレートと下地材を剥がしてみると、屋根裏から見た状態よりも広い範囲が傷んでいました。

一番傷んでいる西側の軒裏を解体したところ、何と内部が焼け焦げていたのです。
RCにも煤が付いていて、焦げた部材の殆んどが当時のまま残っていました。
垂木や雨樋は補修されてはいましたが、スレートや積雪に耐えるだけの構造にはしてありませんでした。
ですから時間の経過とともにへたって来てしまい、その影響で「軒天持ち送り」が外れたのでしょう。

何故、地上11mの高さの此処だけが焼けているのか?
外壁は石張りで、屋根は防火性に優れた天然スレート!
軒先の木部は銅板で包まれ、雨樋も銅製。
軒裏は装飾された厚い銅板が張られています。
焦げて炭になっているのは軒天の内部だけ!
その他に延焼した形跡はありません。

高い足場の上で職人さん達と原因はなんだったのか話し合っていたところ、重要文化財の建物を数多く手掛けているベテランの職人さんが「これは空襲による火災の痕跡だと思う。昔、見たことがある」と仰ったのです。

昭和20年の3月〜6月には、東京を空襲する328機.
520機.464機など信じられない数のB29爆撃機が、一回に3,646トンもの焼夷弾を投下して、東京を焼き払っていったと書いてありました。
この罹災の痕跡を見て東京大空襲を検索。
炎の中を逃げ惑う悲惨な体験談や、廃墟になった写真や資料などを、読めば読むほどコノヤロー!
日本各地の都市を空襲し、トドメが広島と長崎への原爆投下。まもなく終戦記念日がやってきます。

三枝

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