江戸期の部材が甦る、最新仕様の住まい《古民家改修事例②》

江戸期の部材が甦る、最新仕様の住まい

築150年以上と伝え聞く民家。
関東大震災に耐えたとは言え狂いが生じており、以前から大規模なリフォームをお考えでした。
代々受け継ぐ貴重な建物を取り壊し、新しくするわけにはいかないというお気持ちです。
ただし住まい方の事情で、ご希望は二階を増設して二世帯住宅への変更したいというもの。
ですがこれは建築基準法上の問題やコスト面など、色々な面で困難を孕んでいました。
従って、ここでは現地解体/再生を行なう事としました。
既存の構造材や建具などをバラし、大部分復元しての建替えです。
各部のつくりは最新ですが、用いる部材が次世代へと記憶を伝える、味わい深い家になりました。

再生部床面積:223.35㎡(67.42坪)
再生範囲:部材再利用による建て直し。

※旧家屋を全て解体し、柱・梁を再利用しながら新築。
※完全平屋の民家を、2階屋に変更。
※敷地の土を用いた土塗り壁を一部採用。
※ペレットストーブを導入。

改修前の様子

2階建ての様に見えますが、平屋建ての住まいです。
三和土の土間や木製建具の窓など古いままの部分もありましたが、建物裏側では増築しながら水場や収納などが造り替えられていました。
外観的にはおとなしいですが、内部では骨太で良質な部材が多数見られ、立派に造られていたことが伺えます。

解体~部材整理

解体には重機も用いますが、基本的には手作業で行ないます。
今回は一度バラバラにした後でもう一度組み合わせる部材が多数あります。
従って当然ですがどれとどれが組み合わさるのかを確認出来る様にしなくてはなりません。
ここでは敷地にゆとりがあったため、ほぐした構造材の仮置きや管理等の面でとても利点がありました。
また再利用する部材は構造材だけではありません。
天井材、長押材、式台、幕板、和室まわりの造作材一式などなど..。
細かな部材が多岐にわたります。
ほぐしたら整理し、洗いをかけ、乾かし、また整理して再構築のための作業に備えます。

刻み~建て方

取り外してみて傷んだ部分を発見したり、間取り変更の都合で利用出来なかったり。
残念ながら全部材の再利用とまでは行きませんでした。
新しい部材も採り入れ、その取合いも考慮しながら古い部材に新たな仕口を刻みます。
同時に利用できなくなった古い仕口には、その形状に合わせて埋木を施して行きます。
年月を経た部材は平滑ではありませんから、その辺りを考えながらの作業です。

新たな住まいは耐震構造によって再構築です。
こんどはベタ基礎に旧宅の1階部分を構築し、新しい部材を用いた2階を載せるかたちとなりました。

完成に向けて

建物の雰囲気を統一感あるものとするため、窓には木製サッシを採用。最後に塗装をして雰囲気を整えます。
窓外にはシャッターではなく雨戸を設け、全体の佇まいを継承しました。

昔の竿縁天井を再生しました。
年月を経ているうえ薄い無垢板のため非常にデリケートな材。
きれいに取り外すことができ、一枚一枚再生しました。

もともと座敷以外は簡易的な小屋裏納戸になっており、力根太に杉板が敷いてある納まりでした。
無垢の材でしっかりしていましたが本格的な2階住居仕様とは合わないため、新しい部材で構成します。

ここでは敷地の土を座敷の壁仕上げに採り入れました。
熟成させられるほどの日数は確保出来ませんので、職人の経験と勘でブレンドです。
外壁の漆喰にも調合しています。
割れが大きくならないよう、下塗りにメッシュを伏せ込んでいます。

完成

流れはほぼ新築ですが、歴史を感じる重厚感が漂います。
この様な素材の重みは一朝一夕で手に入れられるものではありません。
そういった意味では建築費以上の価値があるとも言えます。

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