私たちは影を売る商売です

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調湿効果のある塗り壁の家に暮らしている人は、
特に梅雨時に爽やかさや心地良さを感じると言います。
暮らした人でなければ解らない独特の空気感だとか。

御前崎のU様邸の内壁は、今では珍しい土壁仕上げです。
新築祝いには、職人さんも招待して下さいました。
職人さんにとって、完成した家を見る機会はそう多くはありません。
大工さんは特にです。

 

 

喜んでくれているお施主様の姿を見、工事期間中の話しで盛り上がる中
「私たちは影を売る商売です」と言ったのは左官職人のHさん。かっこいい~!!
更に「焼肉をやっても、朝には匂い消えていますから」

 

 

構造材や造作材.漆喰や珪藻土など、自然素材を多用した家造りをしている杉坂建築事務所。

現在工事中の中目黒の家も漆喰なのですが、和室だけは
日本の伝統である土壁です。
お施主様には3種類の色見本の中から選んで頂くことに。
その中で一番濃い色に「これは無いかな」と最初に✕。
愛知の土で塗った他の2色でも迷われ、
いっそ他の部屋と同じ漆喰にしようかという話にまでなりました。

 

 

左官職人のFさんと設計者のお勧めは、外された色。
東南の角の明るい部屋。この色ならば落ち着いた品のある和室となる筈。
サンプル板を窓際の明るい壁に当ててみたり、
反対側の壁に当てたりして、同じ色.同じ塗り方でも表情が変わることを説明していました。

静かな口調ながらも力説しているFさんを見ていたら、
何故か8年前の「私たちは影を売る商売です」の一言が、
私の口をついて出ていました。
お施主様納得!
Fさんのお勧めの本聚楽の色に決まりました。
この土壁は淡路の土と砂.稲藁の “すさ” を混ぜ合わせた
もので塗ることになります。

 

 

それを言った左官屋は◯◯さんでは?とFさんに聞かれ、
◯◯さんと一緒にやっていた年配の人は京都で修行していた時の私の親方です。
◯◯に頼まれて静岡に行くんだが、東京の杉坂建築事務所って知ってるか?
と聞かれたことがあったと言ってました。聞いてビックリ!!

FさんもHさんも、塗りの技術が素晴らしいのは勿論ですが、
左官の可能性を追求し、作品を生み出していく正に芸術家。
いい親方のもとで修行すると腕も上がるし、仕事も丁寧。
使い込んだコテ類を見ると、手入れが行き届いています。
だから仕上がりも綺麗!

 


【作品は杉坂スタジオでご覧いただけます。内壁の珪藻土と漆喰塗りもFさん仕事です】

 

 

このような職人の方々にご協力いただいて、杉坂建築事務所の家は造られていきます。

三枝

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