世田谷区で注文住宅を建てるなら知っておきたいこと

世田谷区に注文住宅を建てる前にチェックしておきたい注意点について

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住みやすく人気な世田谷区で注文住宅を建てることは一つの憧れの対象になっています。
もともと充実している緑地や商店街の活気、いま力を入れている福祉や子育て環境など人を惹きつける魅力が世田谷区には揃っています。

そんな世田谷区ですが、注文住宅を建てるにあたりいくつかの注意点があります。

今回は新築や建て替えをするときの注意点や、住環境に配慮しているからこその世田谷区特有の規定を解説いたします。

世田谷区の注文住宅事例1

杉坂建築事務所が施工した世田谷区の注文住宅事例です。
こちらから詳細をご覧いただけます

景観条例

街中で目を引くファストフード店やコンビニエンスストアの看板。そんな看板も京都や奈良などではアースカラーなど地味な色になっているのをご覧にならった方も多いのでは無いでしょうか。これらは景観条例が関わっている事が多く、本来のアイコン色が許可されないという理由があるためです。
京都や奈良では歴史的街並みの雰囲気を守るため、鮮やかで原色のような色を抑えるために条例が機能しています。

世田谷区では自然の美しい景観を崩さないために景観条例を敷いています。

世田谷区内で適用されるエリアは区のホームページに記載があり、適用の度合いもそれぞれ地域によって異なります。たとえば色の三原則である色相、彩度、明度を基準に規制が設けられていたりします。

色相は色の種類を表します。彩度とは色の鮮やかさを表し、これが高いとビビットな色になります。明度は色の明るさを表し、これが高いと明るい原色のようになります。

世田谷区内でも適用される地域とされない地域があり、規制の度合いも異なります。
最も厳しいのが国分寺崖線エリアです。明るい色やパステルカラー調であっても鮮やかなものは難しく、自然に馴染むベージュやブラウンなどが推奨されます。

戸建住宅には景観条例はあまり関係ないのではと考える方も多いかと思いますが実はこれにより、苦い思いをされる方も少なくありません。

間取りを決める前に外観イメージが前もって固まってる方、例えば真っ白のピュアホワイトが希望なんていう方はもしかしたら諦めなければならないかもしれません。

白が何で!?と思うかもしれませんが、あくまでも周囲景観との調和を大切にする規制です。緑が多く周囲がアースカラーの住宅で整っている中では真っ白な北欧風の外壁が鮮やかに際立つため、自然な調和に馴染まないと判断されてしまう事があるのです。

緑化計画

世田谷区は国分寺崖線、駒沢オリンピック公園、砧公園を始め大小さまざまな公園や緑地があるのが特徴です。これはたまたまではなく、世田谷区が緑を守ってきた賜物とも言えます。

「世田谷みどり33」と呼ばれる計画では区制100周年である2032年に世田谷区の面積の1/3を緑化しようというプランを区主導で行っております。

そしてこの緑地を守る伝統は住宅にも及びます。

住宅を新築、建て替えなどするタイミングで敷地内の緑化義務が生じ、届出をする必要があります。具体的には中木を何本、小木を何本のように敷地の大きさによって定められます。

世田谷区の伝統である緑ある街を維持する良いことではありますが、ときに間取りや費用に大きく影響しますので注意が必要です。

防火指定

防火指定とは建物に要求する防火の能力です。

防災上の不安が小さい地域は「防火指定なし」ですが、東京23区では「防火指定なし」を見つけることは困難です。
「防火指定なし」の次が「準防火地域」、その次が「防火地域」と厳しくなります。ただし防火指定なしなら何も対策しなくて良いわけではなく、建築基準法上最低限の仕様はクリアしないといけません。

世田谷区も「防火指定なし」のエリアはほぼ無く、大半が「準防火地域」に設定されています。

準防火地域の場合、サッシや外部に接する部材などを防火上ワンランク上の仕様になるため、種類が限られたり金額が高くなったりします。3階建ても可能ですが「イ準耐火構造」という特殊な構造になります。

さらに上の防火要求が生じる防火地域は駅前や環状7号線、環状8号線、国道などの大通り沿いです。駅前は建物が密集しているため燃え移りを防ぐこと、大通り沿いは通りの反対側への燃え移りを防ぐため、防火要求が高く設定されています。

防火地域でも特殊な被覆を行う事で木造住宅の建築は可能です。また最近は認定工法も出てきました。ですがそれらは一般的でなく、防火地域内での木造住宅は階数に関わらず原則建築困難とお考えいただくのが妥当です。なおコンクリート、鉄骨造による耐火建築物を建築した場合、建築費は割高になります。

高度地区(高度斜線)

日本で建築される建物には建築基準法で高さ制限が規定されます。

高さ制限は前面道路によるもの、北側隣地の日射を確保するための北側斜線など、様々な高さ制限があります。

ここで言う高度地区は、それら全国的に適用されるものではなく自治体が特に条例で定めるものいなります。東京が最も厳しく、高度斜線が生じるエリアでは建物の高さが大きく制限されます。

鉛筆の先のような尖った住宅を都内で見たことないでしょうか。
あれは大体が高度斜線によるものです。高度斜線のエリアでは、プランによっては建物の天井を低くする必要が生じたり、外観のデザインに需要な屋根の形状にも影響を与えます。3階建の建築の場合にはいろいろな検討が必要になります。

世田谷区では第一種高度地区がとても多い。
建築する場合は不利なことも多いですが、裏を返せば更に南側に建つ住宅も同じ制限が適用されるという事でもあります。尚、高度地区・高度斜線は主に第一種・第二種低層住居専用地域に規制されています。

建ぺい率、容積率

建ぺい率は建築面積、いわゆる建て坪を敷地面積で割ったものです。建ぺい率100%とは敷地面積いっぱいに建物を建てられる状態を言います。

一方容積率は、各階の面積の合計である延べ床面積を敷地面積で割った数字です。これらが小さいとせっかく高い金額で土地を買ってもその一部分にしか建物を建てられないことを表します。

世田谷区の住宅地は良好な居住環境を創出するために建ぺい率、容積率が低いところが多いです。

住宅地の大半は建ぺい率50%、容積率100%の指定です。
これは敷地の半分までしか建物を建てられないということを表します。敷地の半分は建物を建てられず庭や空き地になるため、周囲の住居に対する圧迫感が少なくお互い良好というのが狙いです。

とは言え事前に知っているか知らないかでは大きな違いです。土地を気に入って契約した後、希望の部屋数が入らなかったとなれば損した気分になってしまうでしょう。

成城憲章

条例とは世田谷区の場合、東京都或いは世田谷区が制定しているものを指します。ですが自治体に依らず独自に良好な環境を保持する事を念頭に住民間で基準を制定する事が出来ます。これは一般的に建築協定といいますが、広範囲な公的な法規では制定できない細かな配慮を行き届かせる事が可能となります。条例よりも更に地域の特色がでる制度です。

かの有名な成城エリアには「成城憲章」という協定が存在します。成城と言えば芸能人や政治家などが住む高級住宅街として有名ですね。

成城憲章は建築協定に近いのですが、実は法的に許可認定された規定ではなく自治会が取り決めた約定を地元住民主体で守ってきたもので、「紳士協定」とも言われています。ですが近年良好な環境を守る取り組みに対して世田谷区でも支援するようになりました。そして最近それを更に押し進めるかたちで、世田谷区で「成城地区まちづくり計画」という制度が設けられています。これはにより成城憲章で求めらる理念が、完璧ではないにしてもより具体的に補われたとも言えるでしょう。

成城憲章は良好な居住環境を創出するためにいくつかのルールがあります。

その中でも最も成城らしいのが、敷地面積の最低限度です。成城憲章では一つの敷地の面積を最低250㎡確保することを推奨、最低でも125㎡確保するよう定めています。

250㎡は約75坪。30坪前後やそれ以下も多い都内の狭小住宅から比べるととても広い敷地です。広いのはもちろん良いのですがその分土地代も高価になります。ただでさえ高い坪単価に広い土地面積が掛け合わせると、軽く2億を超えてしまいます。これが維持できてこそ「成城」であり、憲章のキモです。

世田谷区で注文住宅を建てる前にチェックすべき注意点まとめ

世田谷区で住宅を建築するとき注意しなくてはいけないポイントについて解説しました。
憧れの住まいである世田谷区、世田谷ブランドたる所以の良好な居住環境を確保するため区も各住居にルールを作ります。そのルールを知らずして憧れだけで突き進んでしまうと時に想像と異なることも起きてしまうかもしれません。

これらのルールは元を正せば住みやすく誇りを持てる住環境を作るためのものです。
一人だけにかかってるのではなく、全員同じ条件です。あらかじめ確認した上で前向きに条例を捉えられ、さらに条例を味方につけ楽しく住宅を計画したいものです。

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