蔵元 仙禽(せんきん)

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新酒の季節です!

日本酒愛好家であれば「エッあの仙禽!」と思われた方が多い筈。
そう!日本酒業界に旋風を起こし、歴史に残る快挙を達成したと
言われているあの栃木県氏家の蔵元
仙禽です。

驚くような独自の造りで常識を打ち破る若き兄弟蔵元が造る
こだわりの蔵だと評され、めざましい躍進ぶりに業界では
「仙禽兄弟」とか「仙禽ブラザーズ」と呼ばれています。

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久し振りに伺いました。

東北自動車道を北へ!左手方向に真っ白な富士山、右には筑波山、
暫く走ると左に遠く浅間山と妙義山、現場が始まる佐野インター脇の
三毳(みかも)山を横目に見て更に北へ!
雪を被った男体山や日光連山、那須連峰など懐かしい風景を目にすると
建築当時のことが次々と思い浮かんでまいりました。

建築のお話は先代の十代目社長からございました。
電話の向こうで蔵元の場所を説明する十代目に
「あの氏家小学校の隣にある造り酒屋ですか?」と言うと
「何で知っているんですか・・・」と知っていた事に驚いた様でした。
以前行った事がある隣接している小学校の校庭から
茶色のレンガ煙突が見えていたのが印象に残っていましたから!

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高さ30m程のレンガ煙突は3.11の東日本大震災で倒れてしまいました。
仙禽が創業した江戸末期(1806年)イタリア製のレンガを輸入して造った
特注品だったとのことです。
建築当時煙突の補強の事も話し合ったのですが・・・
横揺れが長く続きましたからね!

その煙突の根元近く、もろみを発酵させるタンク部屋の入り口に
酒造りの神様「松尾様」が祀ってありました。
松尾様が酒造りの神様で女神であることをこの時知りました。

酒造りは水が良くないといい酒は出来ません。
もう一本、既存の井戸から十数メートル離れたと処に掘った井戸水と
既存の井戸水が同じ水質になるのに数ヶ月かかったとも聞きました。
造り酒屋にとって水は命!土壌を汚染しないよう細心の注意を払い
工事を進めました。

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母屋を残し写真には道路側しか写っていませんが冠木門の奥には
L字型に住居部分を大増築、瓦屋根に三角形のトップライトが映えます。
大谷石の蔵の一つは赤松の太い材を登り梁に使い、軒を深くした屋根に
架け替えました。
威風堂々とした他では見られない蔵になったと思います。

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その蔵の屋根にもトップライト!角に使用してある茶色の石は徳次郎石
と言って今は採れない貴重な石を仙禽さんの蔵は使っていました。
「蔵元仙禽」を紹介する写真にはこの蔵が写り込んでいます。

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建築中のエピソードはまだまだ書ききれないぐらいあります。
十代目は酒造業界内では革新的なことをする蔵だ思われていました。
これからは杜氏にだけ頼るのではなく自分達が思い描く酒を造る為に
準備を進めていました。
十一代目のご兄弟に代が移り切磋琢磨の末それらが実を結びました。

「全ての商品は機械工業製品ではなく伝統工芸品である」

手間を惜しまず造る姿勢!
いいですね~!
現在の日本酒製造では、もろみを発酵させるのに使われている容器の
99.9%が管理し易い緑色した金属製のタンクになってるそうです。
これまでにも金賞は何回も受賞している蔵元
仙禽ですが、
十一代目達はあえて手間のかかる木の樽二本を復活させて酒の仕込みに
使い、酒米も山田錦に決別して亀の尾に変え全国新酒鑑評会に出品、
堂々の金賞を受賞したのです。歴史に残る快挙とはこのことです。

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帰りには商品の一つ「霧降
純米吟醸
無ろ過生原酒」を購入

日本酒の味や香りの表現として”芳醇な米の旨味”とか”吟醸香”
“新鮮な果実のように爽やかな香りとフレッシュな風味”とか
“濃醇旨酸味フルボディー系”とか様々な表現がありますよね!
漢字だけを見ているとなんだか味がわかったような気がしてきます。

酒に弱いということもあるけれど、おいしいと思ったことのない私。
唯一アルメニアコニャック5年ものはおいしかったですがそれも昔!
帰宅してお気に入りの蕎麦猪口を用意しキャップを開けた途端
なんとも言えない甘酸っぱい良い香り!
蕎麦猪口に半分注ぐと更に良い香り!
口に含んでみると今までの日本酒のイメージと違いとてもおいしい。
これ日本酒だよな?
もう一口飲んでみる・・・この香りは何の果物に例えたらいいんだろう!
口の中に広がるおいしさ、うまい!
日本酒のイメージが変わりました。
今まで口にしたワインよりこの日本酒の方が格段にうまい!
美味しんぼ的言い方だと
“旨いの範囲を超えている”

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もう一口、もう一口と飲んでいたら直ぐに飲み切ってしまいました。
帰ったら早くあのお酒を飲みたい・・・その思いは5日間続きました。
こんなにうまいのだったら他の純米吟醸酒はどうなのかと思い、
世界食品品評会(モンドセレクション)金賞をとった酒を店で見つけ購入。
飲み比べてみると仙禽のお酒の方が味、香り、まろやかさ全てで優って
いると感じました。
パイナップルのような甘い香りと酸味・・・それに近いんじゃないか!
あぁ早くまた飲みたい!

当日、仙禽から250m離れたところで以前施工させて頂いた家が在り
改修工事が始まります。その敷地内にはかなり大きな池があります。
この時期は白い砂だけの空の池ですが、
田植えの準備が始まるころになると池の底から水が湧き出し池が
忍野八海のように透明な水で9月末頃まで満たされます。

今月の中旬から工事に入ります。
さくら市のこの現場から、帰りは途中の佐野の現場に寄ってから
帰社というパターンが暫く続く事になります。
と言うことは仙禽のおいしいお酒が楽しめるってことです!

今回も長かった!
それではまた・・・です。

三枝

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