未来和風の様式【05】

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10:和風外観に木は不要!?

ところで自然素材のみで家づくりをすることは今の都市環境下で可能なのでしょうか。

今、『住居は住むための器』といわれた時代から「第2の衣服」の時代へと変化が求められています。住居はそれだけ住人の身体的健康と精神的健全性に直接関わるものだという認識が強くなってきたのです。

住居という人間の着る大きな服は、その身体側(つまり室内側)に関しては人間に近い生産材料として身近な地域の自然素材が用いられるべきです。しかし外部についてはどうでしょう。昔の和風建築のように外部にも木を現してつくって行くことは、既にほとんどの地域で法規上許されなくなりました。このような建築は法規の適用外の場所にしかつくることができないのです。

人口の大部分が集中する都市住宅地域であれば尚更です。低く抑えられ長く突き出た軒、真壁造りの落ち着いた陰影のある外観といったイメージの和風は、残念ながら都市環境(都市生活)の中では馴染まなくなってしまいました。和風の未来像は外観イメージから発想するのではなく、簡素シンプルな建物に四季のリズムを反映した住まいによって、和の本質が受け継がれて行くものと考えます。

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天然木材を主体にした自然素材と職人の技で実現されていた日本建築は、生産・維持・廃棄のすべてのプロセスにおいて地球環境にやさしいものでした。このことはこれからの和風建築が受け継ぐべき最も大切な遺産だと思います。

私たち日本人は、和風の様式がエコロジー社会を成立していく過程で確実に評価され定着されるためにも、都市で成立する日本型環境共生住宅をもっと成熟したものに育ててゆかねばならないのだと思います。

(おわり)

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